祭りの後

山之郷住宅での盆踊りはそれは賑やかなものでした。町内総出で盆踊りに興じる、出店がたくさん出て小学生の頃の楽しみの一つでした。金魚すくい、紙芝居、綿菓子に、お面屋さん、ヨーヨー釣もあったような気がします。
田舎の夜は早く、8時くらいにはお祭りも終わりました。あとは、我が家の縁側で近所のおじさんたちが酒宴をはじめます。祖父は、鳶の親方、若い衆から慕われていました。仕事柄、刺青を着たお兄さんたちもたくさん来ていました。彼らにもかわいがってもらい、怖いという気はしませんでした。その祖父は私が小学校4年生のときに肺がんで亡くなったのですが、やはりとてもかわいがってくれました。今でも、一番似ていると親戚には言われます。
祖父は、自分で伝馬船を造り、良く玄界灘に漁に出かけていました。獲物は、フカやふく、とらふくは、祖母がさばきます。肝を食べた記憶はありませんが、毎日のようにふくを食べていたような気がします。今思えば、贅沢なものです。朝の味噌汁にもふくの身がたっぷりと入っていたのですから。小学校の同級生でふくの毒で亡くなった者もいました。