高齢者住み替え支援

昨夜の雪は、薄く積もっていた。氷は厚い。
日曜日の日経新聞のトップは、時に不動産屋を震えさせる。3年前の10月15日の日曜日には、レインズ情報を一般公開し、ネット経由の仲介手数料を格安にするという衝撃的な記事が載った。業界の猛反発を受け頓挫したが、不動産ジャパンの実現となった。
今朝は「高齢者住み替え支援」、住宅関連業界が共同で中間法人を設立し、郊外の高齢者住宅を一括借り上げ、子育て世代に格安に貸し出すというスキーム。便利な都心に住みたいという高齢者と、子育て環境にマッチした郊外での教育を望む世代のニーズをともに満たそうという。
全国に、高齢者だけの世帯は約780万(2004年末)、2015年には1千万に達するという。ますますニーズは増えるというのだが。
高齢者の自分の家に対する執着は、想像以上のものがあり、簡単に都心に住みたいというニーズが思惑ほどあるかどうか疑問だ。この横浜郊外の広めの分譲地でも、長年付き合ってきたご近所と離れがたく、老人だけの住宅はたくさんある。庭の手入れなど維持管理が大変という推測をしても、簡単にその地を離れるものだろうか。夫婦どちらかが、早世して一人きりになるならともかく、元気なうちに我が家をいったん手放すという前提は納得しがたい。
妻は近所に友人がたくさんいるが、現役をリタイヤした男は、地元に友人もいないし、定年後に寂しい思いをすると言われている。少子高齢化の今、都心への住宅需要を満たすより、老人パワーを再度活用するスキームのほうが重要だろうと考えるがいかがだろうか。
さらに、リバースモゲージなど、老人が安心してゆったりと過ごせるための支援はほかにもたくさんあるような気がする。
売却して便利な老人ホームへの転居も増えている。住み替えは、選択肢を増やすという意味では否定はできないが、高齢者世帯のニーズは、単純なアンケートでは推し量れず、地域コミュニティーの創成という政策との整合性にも疑問を持つ。
国土交通省は、この「高齢者住み替え支援」事業に5億円の予算を確保したという。