深刻な人不足

建築業界では、型枠大工、砕石運搬運転手、鉄筋工などの人手が不足している。景気回復に伴い、増える建築現場では、コンクリートを流し込むための型枠を手がける職人が不足している。典型的な3K(きつい、汚い、危険)な職場として若者が避ける職業だからか。長い間の建築不況で、現場から離れた職人も多い。職人不足で、せっかくの受注を断らざるを得ない工務店もあるらしい。
砕石生産日本一の栃木県でも、砕石運搬に携わる運転手の確保に苦労している。景気回復の流れを創った首都圏のマンション建設では、発注者の厳しい工事費の削減要求で、一番で削られた弱い立場の間接費用だ。若者は、きつい仕事から離れ、コンビニなどの賃金は安いが楽なバイトを選ぶ。建築現場には就こうとしない。
鉄筋工も事情は同じだ。
さらに、工賃は地域差があり、名古屋が高いといえば、職人は名古屋に流れ、首都圏の人手不足はますます深刻になる。
そうした事情を踏まえ、これからの建設コストは高くなる一方だろう。物件仕入れには、十分に注意が必要ということになる。好調な購買力が、今後どれだけの間、カバーしてくれるかどうか、しっかりと見極める必要がある。