使えない専門家

 ある企業に土地を買ってもらうことになった。あいにく売主が海外で事業をやっているために、取引に立ち会えないという。そこで、前もって買主企業が指定する司法書士に、本人とその売却の意思、所有権移転登記移転の意思を確認してもらうことになった。
 ところがである。司法書士の先生いわく、本人確認に伺っただけで、委任状は用意していませんときた。そんなことは聞いてないとも言う。おいおい、だ。
 買主企業の指定司法書士だから、文句も言えないが、まだ司法書士の卵、頭はでかいが、取引のいろはも知らない。困ったものだ。顧問企業の安全な取引を請け負うなら、本人から直接委任状をいただき、登記に必要なものは一旦預かってしまえば良いと思うのだが。
 売主は、初対面の司法書士先生を信頼しきっていた。司法書士とはそういう看板を持っているのだから当然である。それが、初対面の不動産業者だとまた話は違ってくる。誰が預けるか!となろう。
 使えない専門家、それは国家試験が作り出した弊害かもしれない。医者、弁護士、税理士然りである。もちろん、その道に精一杯誠心誠意尽くされている本物の使える専門家もたくさんいらっしゃいますが。
 使えない専門家に出くわしたのはちょっとしたアクシデントなのかな。使える仲介業者よりもその使えない専門家のほうが買主企業から信頼されるのが悲しい。