定期借地権

定期借地権制度が始まって10年経つが意外と普及しない。土地は所有権より利用権だといわれているがなぜ普及しないのだろうか。旧来の借地権が、一旦契約してしまうと地主のものではなくなり、借地権者の権利のほうが重宝された時代があった。地上げ屋が横行したバブル時期だ。一旦借地として提供すると、返してもらえなくなるというのが地主が新たに借地しなくなった大きな理由だ。
定期借地権は、定期で借地するが、期間が過ぎたら元通りの土地にして返還しなさいという制度だから、戻らないという心配はない。だが普及しない。そこには、制度が始まってから、まだ50年という住居型定期借地権の期限の経過がなく、問題が表面化してないために、制度どおりに実行されるかどうか地主に不安が残っている。さらに50年という期間がとても想像できないほど遠い未来で、そのときの事情がどうなっているのかまったく分からないということへの不安もあるようだ。
定期借地権つき住宅を購入する側も、住宅ローンについてはまだまだ利用しにくい。特に契約時の一時金たる保証金まで住宅ローンに組み入れるには、地主の登記義務など大きな協力が必要になる。
定期借地権を普及させるために何が必要なのか、しばらく考えてみたい。